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BMW 駆けぬる歓び
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最高、そして最新の技術を持つ整備士。“BMWマイスター”への道

全国のBMW正規ディーラーで働くすべてのテクニシャンがBMW Group アカデミーに集い、様々な講座を受けながら成長していく。
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BMWグループ・ジャパンは、本国ドイツに古くからある徒弟制度に由来した整備士の昇格制度を採用している。その最高峰に当たるBMWマイスターには多くのステップを踏んで、ようやくたどり着けるが、それは決してゴールではないのだ。

本国ドイツの慣習に由来する昇格制度“マイスター”とは

中世から続くドイツの手工業などにおける徒弟制度及びトップの技術力をもつ人間のことを意味するマイスター。ドイツの若者は15歳くらいになると自身の進路を決めるのが一般的で、技術職に就くことにした者は学校に通いながら見習いとして工場などで働き、技術者としての腕を磨いていく。そして自らの道を極め、その中のごくわずかな者だけがこのマイスターの称号を手にするのだという。
これに近しい制度がBMWグループ・ジャパン 正規ディーラーで活躍する整備士にも設けられている。それがBMWマイスター制度だ。この言葉をBMWが使い出したのはおよそ30年前。現在では他社も用いているが、BMWはその先駆けだ。この制度がドイツの例に“近しい”理由は、まず、入り口にある。基本的に、ここでは自動車整備学校を卒業した者が働きながら技術を身につけていく(少数だが、イレギュラーで高校卒業後に入社し、正規ディーラーで下積みをするというケースもある)。つまり若くして自らの道を定め、技術者を目指す者が集うということだ。もうひとつの理由は、厳密な徒弟制度ではなく、体系的な職業教育を行っている点だ。もちろん、正規ディーラー内で上司と部下、師匠と弟子という関係性はあるものの、BMW Group アカデミーで項目別や技術別の約40項目に及ぶ整備研修プログラム、日本の独自につくられる試験を受けながら、昇格を経て、仕事の幅を広げていく。実習教育を行うことで、より実践的な技能を習得するということだ。

BMW Group アカデミーには、BMW サービス・テスターやあらゆるテストカーなど、最新のBMWを学ぶために必要な、充実した設備が用意されている。

“BMW MEISTER”の文字に込められたBMWの魂

BMW は、以下5 段階のレベルで整備士の技術を定義づけている。

1. アプレンティス
入社してすぐの者はここに位置付けられる。BMW グループの一員としての自覚をもつことと、必要な基礎知識を理解し、自ら積極的に行動できるかどうかが肝になってくる。クルマに触れられる機会は少ないかもしれないが、整備士としてのキャリアの出発点であり、我慢の時期でもある。

2. BMWジュニア・テクニシャン
BMWは整備士のことをテクニシャンと呼ぶ。BMWジュニア・テクニシャンの多くは入社2、3年目の新人たち。この位になると、各正規ディーラーに配属されている“ワークショップ・スーパーバイザー”すなわち工場長に当たる者のサポートを受けながら、BMW 1~3シリーズの定期点検、日常で必要なパーツの交換作業などができるようになる。

3. BMWテクニシャン
“ジュニア”が外れると、本格的な故障診断を行えるフェーズに入る。対象車種はBMW 1~3シリーズ。BMWは最新技術をフラッグシップの7シリーズにまず反映させ、徐々に他のシリーズにも活かしていく傾向にある。要するに、あらゆるトラブルシューティングの方法が確立した、故障診断がある程度、容易なモデルが対象というわけだ。ただ“ジュニア”と同様に、診断作業を実施する際は、ワークショップ・スーパーバイザーのサポートを受ける必要がある。

4. BMWシニア・テクニシャン
“シニア”がつくと、いよいよ独り立ちだ。扱えるのは全車種。このクラスになると、すべての作動、構造を理解し、故障診断、パーツの交換作業などが行えるようにならなくてはならない。“テクニシャン”まではトレーニングを受ければ昇格できるようになっているが、“シニア”になるにはBMWサービス・テスター(車両内部に搭載されたコンピュータと通信し、故障診断を行う機器)をベースとした試験に通る必要がある。テスターベースといっても、過去に出された問題は二度と出ないため、先輩たちから情報を入手し、過去に出題された問題を練習しただけでは合格できないという。

5. BMWマイスター
最短で5年(といっても、大半はそれ以上)の時間をかけて技術や知識を習得しなければなれない、といわれているテクニシャンの最高峰。基本は“シニア”と同じだが、より高度な判断力が求められる。例えば、先の通り、故障診断は主にBMWサービス・テスターを用いて行うが、BMWのデータベースにはない不具合が発生するケースもある。そんな事態に直面したときに、培ってきた経験や知識をもって短時間(試験時間はわずか25分)でトラブルを解決できるようになることが必須条件だという。合格率は約4%。現在、活躍しているテクニシャンのなかでBMWマイスターの称号をもつのは1割という狭き門なのだ。彼らはマイスターになると、その証として“BMW MEISTER”という刺繍が背中に入ったつなぎを身につける。彼らが背負う“BMW MEISTER”の文字は伊達ではなく、BMWが誇る高い技術力と信頼の証なのだ。

モデルチェンジを経るごとに、クルマの内部は大きく進歩する。BMWマイスターになったとしても、“今”を知らなければ、求められる役割を果たすことはできない。

BMWマイスターは降格することはなく、BMW グループのテクニシャンでいる限り、半永久的にそのつなぎを着続ける。そのため、BMWについて何でも知っていると思われる信頼と緊張感に常にさらされる。
クルマの仕様はあらゆる点で常に進化し、変化する。5年前、10年前にBMWマイスターになった者は、昔に得た経験、知識をアップデートさせて続けていかなければ務まらないのだ。BMWマイスターの称号は、テクニシャンにとって終着点でもあり、始発点でもある。