「BMW Team Studie」に聞く、サーキットでも、公道でも。パフォーマンスと安全のために守り抜くべきこと
アジア初となるBMW Motorsport公認オフィシャルアウトソーシングチーム「BMW Team Studie」。彼らの魂と、何よりも大切にしていることを探るため、BLANCPAIN GT Series Asia Rd.7 Fuji SPEED WAYのピットを訪ねた。
BMW Team Studie
長年にわたって参戦しているDTM(ドイツ・ツーリングカー・マイスター)を筆頭に、BMWのDNAの一部と言って過言ではないモータースポーツ。今やサーキットレースの主役となった市販車ベースのマシンで戦うGTレースの勇姿は、日本のSUPER GTでの記憶も新しいところだろう。
BMW Team StudieはこれまでのSUPER GT/GT300クラスでBMW Z4 GT3とM6 GT3で参戦してきたが、今シーズンから、戦いの場をBLANCPAIN GT Series AsiaのGT4カテゴリーに、そしてマシンも今年デビューしたばかりのM4 GT4にスイッチした。
ドイツ本国のBMW Motorsportと密接なジョイントを組むBMW Team Studieの活動は、「BMWの“走り”へのこだわり、“走り”のフィーリングが本当に大好き」と語るチーム代表兼監督・鈴木BOB康昭氏の熱い想いのみならず、高度な知識と技術を持ち合わせたプロのスタッフの存在あればこそだった。
パーツライフ管理
BMW Team Studieは今シーズンから、BLANCPAIN GT Series AsiaのGT4カテゴリーで参戦しているが、初めてのシリーズとマシンに難しさは当然あるものの、しかし、やることは大きく変わらないとチーフエンジニアの高根裕一郎氏は言う。
BMW Team Studie チーフエンジニア 高根裕一郎氏
「GT4規定のレースカーは、ボディ、サスペンション、ブレーキは専用品になっていますが、端的に言って7割くらいは市販モデルのままです。エンジンやトランスミッションはまったく同じで、パワーは逆に絞ってあるくらい。セッティングの自由度もそれほどありません。そうしたなかで我々が重点を置いているのは、パーツライフの管理です。レースの過酷な環境下では設定寿命内でも不具合が起きたり、壊れてしまうパーツが出てきますから、先手を打ったメインテナンスや交換をするようにしています」
BMWを知り尽くしたプロのメカニックによる念入りなメインテナンスが最高のパフォーマンスを生む
専用テスターで貴重なデータをフィードバック
「M4 GT4はデビューしたばかりなので、レースから得られるデータはとても貴重です。ピットではBMW 正規ディーラーで使われている市販車用の「BMW専用テスター」を使って、レース車のコンディションをチェック。BMW Motorsportとデータを共有し、フィードバックしあいながら開発を進めています。本当に驚かされるというか関心させられるのは、我々ユーザーに対するケアの手厚さですね。蓄積されている膨大なノウハウ、BMWの世界的なスケールメリットには計り知れないものがあります」
「BMW専用テスター」を使ってレース車のコンディションを綿密にチェック。これはBMW 正規ディーラーでも受けられるサービス。
マシンとスタッフに対する強い信頼と愛情
「レースマシンから取得できるデータは数百種類にもおよぶので、一人のエンジニアがすべてを把握することは不可能です。ですから当然、分業になるんですが、データは個別では活用することができません。それぞれの担当エンジニアがデータを分析して突き合わせ、さらにドライバーのフィードバックを反映してマシンを仕上げるチームワークが、GT4カテゴリーではとても重要なんです」
BMW Team Studieではエンジニアに限らず、総勢35名のスタッフ一人ひとりにそうした意識が強く共有されている。それは、総監督でもある鈴木氏のコメントにも聞かれたことだ。
BMW Team Studie チーム代表兼監督 鈴木BOB康昭氏
「優勝を目指して走るわけですから、厳しくやるときはトコトンやるのが当然。でも、“餅は餅屋”。プロの集まりなので、基本的には信頼して任せています。僕は監督として、和気あいあいとした雰囲気、仕事のしやすい空気作りを大事にしていますね。なんといってもチームスポーツですから」
“熱い”信頼とチームワークで勝ち取った優勝。彼らすべて、BMWを知り尽くしたプロである証だ。
レースでも市販でも変わらないメインテナンスの重要性
高根氏はこの日のインタビューの最後に、レースカーであっても市販車であっても、正しいメインテナンスは何より重要だと語ってくれた。
「ちゃんと走ることができれば、タイムも出せるし、コース上でバトルもできるし、優勝も目指せる。だから僕は、レースウィークを通じてマシンが壊れないようにすることを常に心がけています。クルマに精通したプロの正しいメインテナンスがなくては、ポテンシャルは発揮できません。レースカーも市販車も、それは同じです」
やはり、本当の“プロ”が診るメインテナンスを受けることが、あなたの愛車をベスト・コンディションに導くだけでなく、結果としてより永くBMWライフを愉しむことにも繋がるだろう。 車検・点検はもとより、気になる点があれば気軽にBMW 正規ディーラーに相談してみてみよう。
photograph=Etsuko Murakami
text=Masanori Yamada
Special thanks=BMW Team Studie